1. エネルギーの法則

このコーナーでは、わたしが理事を務めさせていただいている国際美容連盟(IBF)で発行している会報誌 Linque に連載中のショート・エッセイを転載しています。

「あるひとつの行動をとる。すると、その動機となった考えは強まる」。これが、エネルギーの法則のひとつです。
たとえば、「できるかどうかわからない。不安だけど、勇気を出してやってみよう」と考えて、一歩踏み出してみたとします。同時に、あなたのなかで、勇気が増えるのです。自信が増えると言ってもいいかもしれません。うまくやった、ということではなく、単に一歩踏み出してみた、というその事実だけで、自信を増やしたあなたは、やってみた結果がきたいどおりのものであれ、違ったものであれ、必ずそこに、新たに自信を増やせるものを見つけるものなのです。
あまりうまくはいかなかったけど、素敵な出会いがあった、認めてくれる人がいた、といったことかもしれませんし、思いもよらなかった成功に到達した、ということかもしれません。
逆に、「勇気を持ちたいけれど、たぶんわたしには無理だ」と、やめてしまうと、それは単にやらなかった、ということでは終わらず、自分の中に不安を増やしてしまうことになります。ですからその先何をやろうとしても、不安が頭をもたげて、ためらう習慣ができてしまいます。
こういうこともあります。「ちょっと違うな」と感じても、相手がそう言うのだから、あるいは、両親の期待と違うから、という理由で、自分以外の人の心に合わせるように行動すると、そのときのあなたは、あなたではなく、たとえばあなたのお母さんとして、それもあなたの思い込みの中に住むお母さんとして生きていることになります。そしてそのとき、ほんとうのあなた自身はどこかへ消えてしまいます。「自分がどうしたいかわからない」とつぶやくときには、たいていこういうことが起こっているのです。  ニューヨークで気持ちよく暮らせる理由のひとつは、ニューヨーカーはそんな意味でわがままな人が多いということです。自分の心をかすめる、ほんの小さな思い、感覚をきちんとすくいとり、大事にしようという姿勢が身についているので、急がずにゆっくり、じっくり考えるし、それを口にもする、そしてだからこそ、相手の思いにも時間をかけて耳を傾けるのです。
焦っていないんだな、と感じます。焦らなければ、ちゃんとコミュニケーションができる。そこではじめて、自信が生まれ、そしてエネルギーの法則どおり、その自信が増えていくわけです。わたしは、毎日のコミニュケーションのひとつひとつから、勇気の使い方を教えられ、自分を育ててもらってきたと感じています。

(初出 Linque Vol.2 発行:国際美容連盟2003年10月)